新生・西友、ネットスーパー拡大の新中期経営計画

リテールテックプラットフォーム編集部

新生・西友が動き始めました。親会社だった米ウォルマートが米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と楽天グループに株式の85%を売却し、3月に新経営体制が発足。新たな中期経営計画を策定しました。その柱はネットスーパー事業です。

流通総額を1000億円上乗せへ

西友は2025年12月期を最終年度とした中期経営計画を策定した。数値目標として、流通総額を現状の7850億円に1000億円上乗せし、営業利益を現状の2倍に引き上げる。戦略の柱はネットスーパー。専用倉庫の新設などを通じて販売エリアを広げ、事業売上高で1千億円、全社売上高に占める割合を2桁に伸ばす

親会社だった米ウォルマートが米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と楽天グループに株式の85%を売却し、3月に新経営体制が発足したことに伴って新たな中期経営計画を策定した。社長兼CEOには今年3月、大久保恒夫氏が就任。同氏はイトーヨーカ堂出身で、ドラッグイレブンや成城石井の経営を立て直した実績がある。

中期経営計画では、「食品スーパーとして業界ナンバーワンになる」「ネットスーパーで業界ナンバーワンになる」という2つの大きな目標を掲げた。目標達成に向けた重点施策として、低価格と、簡便性、健康志向、メニュー提案といった価格以外の価値提供の両立、商品開発力・販売力の強化、ネットスーパーの拡大などを挙げている。

インフラ整備を急ぐ

新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり消費」の広がりをうけ、西友の20年12月期の売上高は前の期比5.6%増の7850億円と好調だった。25年12月期に売上高9000億円規模、売上高営業利益率で直近の2倍となる4%程度を目指す。

楽天西友ネットスーパーは、店頭出荷と倉庫出荷のハイブリッド型で展開している。4月29日には「西友春日店」を「サニー春日店」へと改装オープンするのに合わせ、ネットスーパーの作業場を設置した。これまではネットスーパーの作業場を店舗後方に設置してきた。今回、それを売場内にもってくることで、梱包などの出荷作業を来店客が見られるようにした。

作業場の壁面には飲料やおむつ、トイレットペーパーなど、ネットスーパーの利便性をより感じられる商品を配置。「重いモノやたくさん買いたい時は、本当に便利」「いつでもどこでも注文できるのが助かる」といった利用者の声、モニター映像も活用しながらサービスの魅力を強く訴求。野菜を購入した際に従業員が目利きして選んでいる点もPRしている。

22年初頭には大阪府で同社3カ所目となるネットスーパー専用倉庫を稼働する。現在は横浜市と千葉県柏市の物流センターおよび店舗から商品を出荷しているが、関西に配送拠点を設置するのは初めて。大和ハウス工業が開発する地上4階建ての大型物流施設「DPL茨木」(延床面積約5万8000平方メートル)の全フロアを賃借する。常温・冷蔵・冷凍の3温度帯で商品を保管できるほか、搬送などの自動化設備を導入し、倉庫内の作業を効率化する。これにより、当日配送枠を拡充し、関西地域における供給能力を強化する。

その後も新設を検討する。商品を配送できる地域を増やし、より幅広いエリアをカバーする体制を構築する。株式の20%を所有する楽天グループとは、「楽天ポイント」を活用した新たな客層の開拓や情報システムの開発などでも連携する。

楽天と組み自動配送ロボットの実験も

楽天とは神奈川県横須賀市で3月23日から4月22日まで、馬堀店で取り扱う商品を自動配送ロボットが公道を走行して配送する実験に取り組んだ。対象地域の住民が専用サイトから商品を注文するか、馬堀店で購入した商品をサービスカウンターに持ち込んで配送を依頼すると、自動配送ロボットが指定の時間・住所に配送し、自動音声による電話で到着を連絡する仕組み。注文主は自動配送ロボット側面の操作パネルに暗証番号を入力して扉を解錠し、商品を受け取る――というもの。手数料は無料。自動配送ロボットの走行中は、同地域から約5㌔㍍離れた「横須賀リサーチパーク」から遠隔監視した。

株式売却によってウォルマートの持ち株比率は15%まで低下したため、情報システムについてはウォルマートのシステムから切り離し、独自のシステムを構築する。商品や営業など各部門の一体運営も進め、強みの「EDLP(毎日安売り)」の競争力を高める。老朽化した店舗については年50店のペースで改装投資も実施する。

また、本部人員を適正化するため、8月下旬までに本部社員約200名の希望退職を募り、希望者には再就職を支援する。

DXを加速、ネットスーパーが競争の主戦場に

スーパー各社にとって今後は、ネットスーパー事業の拡大が成長のカギとなる。食品管理のノウハウだけでなく、配送拠点にもなる実店舗を持つ食品スーパーと、受発注システムや宅配に強みをもつネット企業の連携が加速。KKRと楽天、ウォルマートは、「それぞれの専門性を相互に活用しながらイノベーションとデジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速させ、西友が日本を代表するOMOリテーラー(オンラインとオフラインが融合した小売業)として躍進できるよう協業する」としている。

西友だけでなく、アマゾンと組むライフコーポレーション、英オカドと提携するイオンなどもネットスーパー市場を攻略しようとしている。どの企業連合が「便利で、安く、早い」サービスを構築できるのか。数少ない成長市場を巡る争奪戦がいよいよ本格化する。(編集部)

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