巣ごもり消費のなか、存在感を増すD2C

リテールテックプラットフォーム編集部

様々な業界において、メーカーと消費者がオンラインをきっかけに直接取引を行う、D2Cが進んでいます。その強みは、中間業者の中抜きによるコスト競争力だけではなく、購入後も直接消費者をサポートする形で関係性を持ち続けられる点です。ここでは、D2Cの具体例やその効果について紹介します。

相次ぐ企業や個人によるD2C参入

オンライン生活が広がるなか、企業や個人が自社サイトで商品などを売る「D2C(Direct to Consumer)」が存在感を増している。アパレルや化粧品などをはじめとする大手メーカーのD2C参入も目立つ。

コロナ禍で消費者の行動様式は大きく変化した。巣ごもりの時間が増え、ネット通販や出前サービスの利用頻度が増加。米アマゾン・ドット・コムが公表した前期(2020年12月期)における日本の売上高も前年比27.9%増の204億6100万㌦と、日本円換算で2兆円を突破した。

商品・サービスを提供する企業は、顧客の行動変容に対応した取り組みを進める。個人向け商品を製造している企業を例にとると、EC機能は必須となった。米アマゾンや楽天などのECプラットフォームの活用に加えて、従来の商流にとらわれず、直接消費者に販売する事業モデルがD2Cである。

 

オンライン起点で拡販する

D2Cは生産者自身が企画、製造した商品をリアルな店舗を介さず、自社のECサイトで直接顧客へ販売するビジネスモデル。SPA(製造小売り)との明確な線引きはないが、「オンライン起点」という部分がD2Cの特徴。SNS(交流サイト)を駆使しながらオンライン上でファンを獲得し、ECで拡販するといった流れがD2Cブランドのスキーム。オーダースーツを手掛ける「ファブリックトウキョウ」のように、最近では店舗を出店するD2Cブランドも出てきており、D2Cは「オンライン専業」ということではない。

デジタル化によって顧客の詳細なデータ分析、顧客との直接の対話が可能になった。機能的価値より情緒的価値を重視する流れがある中で、独自の世界観やストーリーでユニークな体験を生み出すスタートアップも出ている。日本でも男性化粧品だけを販売、完全栄養食や顧客の好みに合う菓子をサブスクリプションで販売する企業など、その種類は多岐にわたる。

ブランドの世界観を直接消費者に伝える

D2Cのメリットは自社商品のビジョンや世界観を直接消費者に伝えられる点にある。購買データは商品の改善や開発、マーケティング戦略に生かせ、中間業者に支払うマージンもカットできる。モール型ECサイトに比べてサイト設計の自由度が高く、SNSとの相性も良い。

D2Cはオンラインでの購入という利便性だけではない。購入前の試着や、購入後もアプリを通してユーザーと接点を持ち続けることでユーザーエクスペリエンスを高めている。小売業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、店舗が消費者に対してどのような役割を担うかが問われようとしている。メーカー直販は以前からあったが、デジタル技術の進化を追い風に企業と顧客との接点は変化し、小売業のあり方に影響を与え始めている。

リテールテックプラットフォーム編集部

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