ダイナミックプライシング……
AIが需給分析、価格を変動

リテールテックプラットフォーム編集部

需給バランスに合わせた価格設定を行う「ダイナミックプライシング」。大量のデータをベースにした運用が必要になりますが、小売の現場でも導入が始まっています。ここでは、ダイナミックプライシングの導入事例や、期待する効果について紹介します。

国交省、鉄道での利用を検討

オリエンタルランドは3月20日から、「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」のチケットについて変動価格制を導入した。時期や曜日ごとに異なるチケット価格を設定することで、入場者の繁閑差を平準化する狙いだ。

国土交通省も時間帯や曜日によって鉄道の運賃を上下させる検討を始めた。ダイナミックプライシングと呼ばれるこの手法は、IC乗車券を使って混雑時は高い運賃を課して利用を抑え、逆にすいた時間帯は安い運賃で需要を呼び込む。需要の平準化に効果があり、鉄道会社と乗客の双方にメリットが期待できる。

 

「3密」回避にも期待

変動価格制の仕組み自体は特段珍しいものではない。しかし、その際の価格設定は人(商品提供者)の判断によるものであり、繁忙期と閑散期の需要予測が立てやすい旅行業界などに限られていた。

一方、ダイナミックプライシングは過去のデータに基づいた最適な価格設定を人工知能(AI)が行う。安定した稼働率の維持と利益の最大化はもちろん、コロナ禍においては「3密」回避の効果も期待できるとして、2021年に入ってからは導入を試みる企業が急増している。

ワンストップの支援サービスに参入余地

需給バランスに応じて価格を変える仕組みのダイナミックプライシングだが、その手法や考え方も広がりを見せる。食品卸大手、日本アクセスの子会社「D&Sソリューションズ」は今春、スーパーのいなげやと組み実証実験をした。いなげやのポイントカード会員で「LINEミニアプリ」を使用している顧客ごとに、「対象商品を5本買ったら1本プレゼント」という形でスマホに情報を送り、買い増しを促した。

D&Sの唱えるダイナミックプライシングは、購買実績に応じて特典をつけたり、割り引いたりすることで、「実質的な価格」を変える新たな手法だ。

ダイナミックプライシングにはデータ収集・蓄積から需要予測、AIによる分析・適正価格の算出など様々な機能が必要。だが、ワンストップでサービスを提供できる企業はまだ少なく、市場参入の余地は大きい。

リテールテックプラットフォーム編集部

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