デジタル事業1兆円めざす……
イオンが新中期経営計画

リテールテックプラットフォーム編集部

流通最大手のイオンの中期経営計画。柱の一つがデジタルシフト戦略です。ここでは、デジタルシフトに向けた取り組みの方向性と、その先にイオンが目指す世界観について紹介します。

成長戦略の一つであるオムニチャネル化

2021年2月期に710億円の最終赤字に転落した流通最大手のイオン。2026年2月期を最終年度とする中期経営計画ではデジタルシフト戦略の推進などを柱に据え、巻き返しを図る姿勢だ。

成長戦略の柱は、①デジタルシフトの加速と進化、②サプライチェーン発想での独自価値の創造、③新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化、④イオン生活圏の創造、⑤アジアシフトの更なる加速――の5つ。数値目標として、売上高にあたる営業収益で2020年2月期比27.8%増の11兆円、営業利益で同76.3%増の3800億円を掲げた。

最大の課題がデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応だ。電子商取引(EC)やネットスーパーなどの「デジタル事業」の売り上げは、2020年2月期比約14.3倍となる1兆円に設定した。店舗とネットを融合させる「オムニチャネル」を推進し、「オンラインデリバリー=イオンというイメージを作っていく」(吉田昭夫社長)。セルフレジの導入やデジタル技術を活用した店舗運営の効率化を進めるほか、英ネットスーパー大手のオカドと組んで自動倉庫から食品などを自宅に直送する事業を始める。

「イオン生活圏」構築目指す

デジタル化は「非接触」など客側のメリットもある。注文から数時間後には自宅や店舗で受け取れる。専用カウンターや店舗外のロッカーなどで受け取れ、レジなどで待つことは無くなる。ドライブスルーも可能で客は商品や時間を問わず効率的に買い物できる。

「ペットや金融などデジタルでのサービス提供が遅れているグループ企業が多いのは事実だが、そこに伸びシロもある。グループが有するフルラインの商品・サービスをオンラインに乗せていくことでマーケットを取っていく」(吉田社長)という。

さらに各社でばらばらだった顧客管理データの一元化(共通デジタル基盤の整備)を進め、利益率の改善と顧客データを活用した広告収入などの新たな収益源の創出などを狙う。この基盤整備は、地域貢献や環境への配慮などサステナビリティに関する取組みも含め、イオンと生活者とのエンゲージメントを高める「イオン生活圏」の構築を目指していく。

リアル店舗を持つ「強み」発揮

新型コロナウイルス感染拡大で、消費者の購買心理・行動が大きく変化している。デジタルシフトの推進で基盤になるのが、リアル(店舗)を持つ強みの発揮。「(イオングループの)会員規模を活用しながら、新しい顧客をとっていくことが可能」(吉田社長)とみる。

設備投資に関しては、前中期経営計画の期間中に平均で全体の16%だったデジタル・物流への比率を35%に増やす。具体的にはオカドとの協業によるネットスーパー向けの自動倉庫は千葉だけでなく、関西など他地域にも広げる。AIカメラなどを次世代店舗に導入、客数などに応じた空調制御や接客の効率化などにつなげる。

リテールテックプラットフォーム編集部

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